プロモの鬼才、アルコールCMを手がける
2007 7月18日 / shotsオンライン

前回の日本特集の際にインタビューしてから2年。その間辻川幸一郎が監督したミュージックビデオは軒並み高い評価を受け、日本を代表する監督として地位を不動のものとし、その独特で幅広い作品は、国内外の様々なエキシビションでも紹介されてきた。今回は、辻川氏がアメリカのスミノフCMを撮影することになったいきさつを伺った。

弾む胸、水の泡、指人形、角砂糖...これらのものから伝説を生み出すのは至難の業、というかおそらく風変わりだとしか言いようがないかもしれないが、実際、辻川氏はそれをやってのけたのである。ショウウィンドウや舞台美術を手がける空間デザインからキャリアを始め、ミュージシャンである友人から声をかけられたのをきっかけに、1997年から映像を撮り始めた。以来彼は、友人である小山田圭吾(日本を代表するロック・エレクトロ・バンド「コーネリアス」として知られる)のミュージックビデオを何作も手がけてきた。 「小山田君はもともと、友達の友達で、もう長いこと一緒に仕事をしてきましたが、彼とのコラボレーションは「仕事」というより、仲のよい友達といつまでも遊んでいる感覚です」

(写真解説1:指人形を用いたリップスライム「ギャラクシー」)

文字通り「プロモ・コレクション」ともいえるMVを監督し続ける一方で、辻川氏はタワーレコード、ソニーエリクソン、日立など、印象的なCMを何作も手がけてきた。 その映像への情熱と才能、そしてこの意欲的な働きぶりからいって、彼の名が日本国外に知れ渡るのは時間の問題だろう。 つい先頃、辻川氏はJWT NYと組んでスミノフCMの撮影を行った。今回のCM3本は、以前コーネリアスのミュージックビデオ「Drop (Do It Again)」で用いたアイデアをもとに制作されている。

(写真解説2:コーネリアスの「Drop」には、人間の手も登場する)

どんないきさつでこの企画が実現することに? 「6年ほど前に、日本のオルタナDVDマガジン「GAS」で、辻川さんの作品を観ていました。」とJWTのクリエイティブ・ディレクター、ミッチェル・ラチクは語る。「今回のブリーフを読んで、シンプルなアプローチがべストだと話し合ったところで、 辻川さんのコーネリアス「Drop」がものすごく素晴らしかったのを思い出し、彼こそが適任だと思いました。」
「ブリーフでリクエストがあったのは、水を(曲にあわせて)ダンスさせて欲しい、ということ。丸々2日間かけてセットを変えながら、いろいろな種類の水のバリエーションを撮影しました」と辻川氏は語る。 撮影は東京、オンラインはNYで行われた。「辻川さんとのお仕事は、とても良いコラボレーションの経験になりました」とミッチは付け加える。「彼は本当にプロフェッショナルで、手間のかかる撮影に身を捧げていました。難しいことをしているのに、それを簡単そうに見せてしまうんです。」

(写真解説3:スミノフ「Drink Responsibly」15秒)

スミノフの仕事の他にも、いくつか関わっている作品がある。 「現在は、9月から放送予定の、エコロジーがテーマの45秒のショートフィルムを10本制作中なのと、 10月に中国で開催されるエキシビション用にショートフィルム/インスタレーションを準備しています」 それ以外にも、今後しばらくの間、まだまだ忙しい理由は他にもあった。 「近い将来、長編映画をつくりたいと思っているので、脚本やアイデアを練っているところです」 完成作が楽しみでたまらないが、当分はどんなアイデアを練っているのか予想して待つことにしよう。

(写真解説4:スミノフ(Whoo Alright)30秒)


close

copyright © 2007 - 2008 Office KOICHIRO TSUJIKAWA all rights reserved.